第8回「東京からの小包」(04年10月23日掲載)

今まで一緒に働いてきた仕事場のボスに関して、私はずっと恵まれていたと思う。
現在のボスは「ナイス」な人で、私との相性もとても合っている。育児優先のワーキングマミーの私にとって、今のご時勢、これ以上のいい条件で働かせてもらえる所はあまりないだろうと思っている。
しかし、なんと言っても私がデザイナーになるきっかけとなった最初の就職先でのボスは、デザイナーとして私にとても大きな影響を与えてくれた人であり、彼の元を去って15年ぐらい経つ今でも、彼は私が最も尊敬する人のうちの一人だ。
大手広告代理店勤務後、20代後半ですでに独立。その後、広告業界だけでなく、ファッション、音楽界でも第一線で活躍していたアートディレクターである。ファッションデザイナーでもあるキレイな奥さんがいて、私が弟子入りした当初は、最初の赤ちゃんが生まれたばかりで「もう大変だよ」と嬉しそうに言っていた。
私にとっては、デザイナーとしての師匠であるわけだから尊敬するのが当然と言えば当然なのだけれど、当時、「バイトでモデルをしています」的な生温い生活をしていた私が、偶然に出会った人としては、非常にラッキーだったわけである。
先月、母がニューヨークへ戻ってきた時に、東京の実家に届いていたという元ボスからの小さな小包を持って来てくれた。
彼の長男が、東大に合格した時に私が送ったお祝いのお返しだった。 入学式の写真も一緒に入っており、本当に東大に合格したのかあ、と改めて感動した。
「東大」に合格することが人生の最大の幸せであるとは言い切れないが、彼の長男は、かなりな好位置から、人生の新たなるスタートを踏み出したわけだ。
仕事面では絶対的に尊敬でき、彼と奥さんとの関係にも「結婚したら、あんな夫婦になりたいなあ」と、ずっと憧れていた。それでもって、子どもまで「東大」に合格させることができたなんて、受験した本人の努力もさることながら、やっぱり元ボスは凄い、と私は改めて思った次第である。




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