第25回「サバーバン奴隷人生を送っていた私」(05年2月26日掲載)

世の中が、クリスト展だの何だのって、盛り上がっている時に、私は相変わらず、育児に追われる生活を送っていた。世界中からこのオレンジのゲーツを見に、わざわざニューヨークへ来た人も多かったらしいのに、そんなことは友人に教えてもらうまで知らなかった。みんな、何だか、楽しそうだなあ。
ウエストチェスターで、3人の子どもの相手をしながら、在宅で仕事をしていると、ほんと、世間との係わりがなくなってくる。自分の身の回りのことをする時間で手一杯になり、いつも慌ただしい。そうなると、ほっと息をつく暇もないし、シティの動きを肌で感じるということもなくなってくる。
この調子で、思考回路までもが、すっかりサバーバンになってしまったら、デザイナーとしても、かなり、やばい。
今のところ、まだまだ子どもに引きづり回された生活だし、一体、いつになったら、もっととんがったところのアンテナが再起動してくれるのだろう、とストレスを感じる。そう、最近ちょっと疲れているんだよねぇ。
ついこの間まで、長男がインフルエンザで、かなり大変な生活が続いていた。
長男から次男にも移り、更には私まで具合が悪くなった。それが世の常だとしても、もうわけがわからなくなる。
それでも、子どもは、待ってくれない。高熱が出ているのに、大人しく寝ていることなんてできないし、「マミー、一緒にここで寝てぇ〜!」、「マミー、アイスパック持って来てぇ!」、「マミー、アイスパックもういらない!」、「マミー、ノド乾いたぁ〜!」、「マミー、うんちぃ〜!」などなど。
10分おきに大騒ぎして、私は借り出されるのだ。またか!と気が狂いそうになりながらも、「ハイ!かしこまりました。ただいまっ!」と私は部屋中を走り回っていた。
走りながら、私って、まるで奴隷だよねぇ、奴隷・・・と、泣きたくなった。
自分もインフルエンザで背中が痛く、息もできないくらいな時でも、横になることの許されない私の人生、一体、何なのだろう?って、真剣に思った。
巷で、負け犬の何とか、と言われているが、「勝ち組み」のはずの私は(だよね?本を読んでないから、よくわからないけど)、毎日が罰ゲームみたいな生活だ。
負けた方が得るものは大きい、というのは、本当かもよ。少なくとも自由な時間はたくさんあるのだろうなあ、と、ちょっと卑屈になったりしている今日この頃である。




copyright (c) 2002-2006 hitoko ueyama all rights reserved.