第15回「鉄棒」(04年12月11日掲載)

誕生日を迎えた。この年になると、年々、年齢に負けないような魅力的な女性になりたい、と身を引き締めるのだが、先日、私は自分の年を思いっきり感じてしまうという悲しい事件に出くわした。
公園で、子どもが「鉄棒」のようなもので遊んでいた時のこと。
少女時代は読書家でいつもピアノばかり弾いていた私だったが、その実態は何を隠そう鉄棒大好きおてんば娘だった。足掛け回り、肘掛け回り、ダルマなどなど、前回り後回り、どんなものでもクルクルと限りなく回っていられたものだ。
平均台の上で演技をするように、近所の塀の上を歩いたり、ドブ川にかかっていた細い橋を渡ったりするのも好きだったので、母親の反対がなければ私はきっと体操の選手にでもなって、今とは全く別の人生を歩んでいたに違いない。
昔話しはさておき、近所の公園で、正確には「鉄棒」ではないが、「鉄棒」として遊ぶことができるものを見つけた。その時は、今までの欲求不満が解消されたような気持ちがして私はとても嬉しかった。
「ジャスティン、マミーがどうやって、これで遊ぶのか見せてあげるからね!よく見てなさいよ、いい?」と子どもに言った。その「鉄棒」のバーを握った瞬間、少女時代に戻った気がして、何だか妙にわくわくした。
まずは、軽く逆上がりから見せてあげようと思ったのだが、あれれぇ?がく〜〜ん。足が上がらない。こ、こんなはずでは・・・。
脇で見ていた子どものことも忘れて、今度はダルマ回りを試してみることにした。しかしこれもダメ。何をやっても結果は同じだった。
一人で繰り返し挑戦していたら「マミー、あっちで遊んできてもいーい?」と子どもにも呆れられてしまった。
そんなぁ、ショックッ!!!こんなことってありえないはずで、本当に信じられない現実だった。
それ以来、悔しさもあって、私はひそかに逆上がりの練習をしている。絶対にまた鉄棒で自由自在に身を操ることができるようになってやるぞ〜。




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