第13回「旦那様はヴェジタリアン」(04年11月27日掲載)

私は、はっきり言って、ターキーが嫌いだ。
ターキーが嫌いな母親に育てられているので、うちの子どもたちもみんなターキーが嫌いらしい。
日本の母は「しょうがないわよねぇ。だって、美味しくないもん」などと簡単に言ってすませているが、アメリカで生活している以上、「サンクスギヴィングのターキーが大好き!」と言えるぐらいでないと、幸せじゃないなあと思ってしまう。
毎年、ロングアイランドの夫の母親の所へ招待されても、家族揃ってターキーにはあまり口を付けないので、いつもとても申し訳ない気がする。
アメリカ人の夫も、ターキーを食べない。彼の場合、味が嫌いだから、というわけではなくて、ヴェジタリアンだからだ。
ヴェジタリアンになって、15年ぐらいになるらしいが、数年前までは、ヴィーガン(vegan)と呼ばれる、動物性のものは、一切取らない極端なヴェジタリアンだった。今でこそ慣れたが、そういう人と一緒に暮らすのは、とても苦労する。
ヴェジタリアンの中には、「サンクスギヴィングには、やっぱりターキーがないと寂しい」と思う人もいるようで、ヴェジタリアンの多いニューヨークには、グルテンミートやトーフで作られた、ヴェジタリアンターキーというものもちゃんとあるのだそうだ。
「ふーん。そこまでして、ターキーにこだわっているのねぇ。それなら、この日だけは、本物を食べてもいい、ということにすればいいのに」と私だったら思ってしまうが、ニューヨークのヴェジタリアンには、そういう柔軟な(=安易)なことは、全く通じない。
しかし、2年前に、信じられないことが起こった。ここだけの話しだが、お堅いヴェジタリアンだったはずの夫が、実家の部屋の片隅で、こそこそターキーを食べていたのだ。
ぐわぁ〜!そういう光景に、義理の母が「ヒトコ、決してオーバーに反応してはダメよ」と耳打ちしてきたが、これこそ、天と地が逆さまになったような気分だった。
私にとっては、「サンクスギヴィング」は別の意味で「感謝」する日になるかもしれない、と思った。




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