第11回「職業を聞かれる時」(04年11月13日掲載)

職業を聞かれたら、「グラフィックデザイナーです」と、答えるようになって16年になる。
ニューヨークへ来た当初は、学生だったし、「もうデザイナーなんて辞めちゃおうかな」などと、悩んだ時期もあった。結局、辞められずにここまで来てしまったが、最近は、「天職」とまではいかなくても、私にとっては、もうこれしかない、と信じている。
そういう私にも、ここ数年、他にもいろいろと「サイドビジネス」を始める機会に恵まれた。
そして、それ以来、職業を聞かれる時には、一言で済まなくなってきているので、誇らしい反面、ちょっと面倒くさい。
こうして原稿を書くのもその仕事の一つ。
ここ2年ぐらい前からは、日本のリテールメーカーへ向けて、その商品開発とデザイン顧問も担当するようになった。これは、まだまだ始まったばかりで、どうなるかはわからないが、私としては、是非、このビジネスを成功させたいと思っている。そうなると、マーサ・スチュアートならぬ「カリスマ主婦」としてのデビューの日も近い(なーんて勝手に思っている)。
こう言ってしまえば聞こえも良く、「すっご〜い、どうして3人も子どもがいるのに、そんなことができるの?ほんと、スーパーママね」と言ってくれる人もいるが、母には「どれもが中途半端なだけじゃないの。いい加減、一つにしぼってそれを極めなさい!」と指摘されている。
グサッ。確かにねぇ。全くその通り、と反省する毎日だ。
さすがに子どもが3人になると、自分の時間はますます減るし、体力的にもかなり疲れてしまうので、今までのように意欲的でいられなくなってしまった。
専業主婦だった母から言わせると、仕事はいつでもできるけど、子育ては「今」しかできない、ということだ。もう少し、子どもに時間を削いてあげなさい、とも言われたり。
じゃあ、もういっそのこと、母親業に専念するか、とやけくそにも考えてみたりするが、私のことをよく知る友人に「絶対にダメ。そんなことしたら、仁子さん、余計、ストレスになっちゃうわよ」と言われて、その考えもそれでおしまいになった。
そういうわけで、当分この「グラフィックデザイナー兼◯◯」と言う肩書きでいきたいと思う。




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