第1回「やめられない、ワーキングマミー」(04年9月4日掲載)

私の職業は、グラフィックデザイナー。フラットアイアンビル近くのオフィスで働くようになって早6年になる。
ボスとの相性もいいみたいだし、ここのオフィス、非常に居心地がいい。
その前は、ミッドタウンにあった、映画のタイトルを制作する会社でアートディレクターとして働いていた。丁度、インディペンデント系の映画が流行っていた頃で、映画好きでミーハーな私にとって、とても楽しい仕事だった。ウディ・アレンの仕事もしたし、ハル・ハートリーやエイベル・フェラーラなど、有名監督と一緒にミーティングに参加したり、彼らとも直々に話しができた。
仕事的にはかなり地味だったが、でき上がった自分のデザインがスクリーンに初めて映し出される時には、いつもわくわくした。
しかし、そういう楽しい仕事はお金にならないことが多い。会社自体も段々ぱっとしなくなってきた。ハリウッドメジャーデビューの夢もあきらめて、入社3年後に転職したのだ。
新しい会社は、コーポレイトのロゴや広告などを主に携わるものだったが、給料もどーんとアップしたし、新たなる気持ちで意欲を燃やした。
「これからが本領発揮ね。頑張るぞ!」と気合いを入れていたのも束の間で、入社直後、自分が妊娠していることに気が付いた。
「あっちゃ〜。どうしよう」キャリアへの意気込みと女としての幸せとの間で、ちょっとだけ複雑な気分になったものだが、ここはニューヨーク。どちらか一方の為にもう片方をあきらめなければならないなんていうことは、絶対にない。
仕事を続けながら、その数ヵ月後には、私もしっかり「母」になったわけである。
ワーキングマミー歴、5年半。考えてみれば、ニューヨークにいる半分は、ワーキングマミーとして暮らしていることになる。本当は、子育てをしにニューヨークへ来たわけじゃないんだけどね。まあそこは「Whatever will be, will be(ケ・セラ・セラ)」というところかな。
この生活、結構気に入っている。




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